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東京都市大学リカレントプログラム

【2024年度】会話分析

【2024年度】会話分析

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KEY WORD
相互行為研究 / 質的アプローチ / 会話内秩序 / 行為の組織と構成 / ことばと身体行動 / 制度的活動の実践

科目概要
我々が日常的に行っている「やり取り」(interaction = 相互行為)は、あらゆる社会活動の基盤であるとともに、人間が備える社会性を鮮明に映し出すものです。まず、会話を遂行する上で重要なことは相互理解を構築することです。しかし、いま本当に考えていることをスクリーンに投影することはできませんし、正確に相手の心を読む事もできません。むしろ、我々の理解や主張はやり取りの過程で示されるものであり、その中では自身と他者の認識を合わせるため、様々なことが実践されています。
実際に会話データを観察してみると、人間のやり取りは一元的ではなく、その時々の状況に合うように発話がデザインされていることがわかります。例えば・・・

(a) 遅刻してきた人間に対して不満を示す際に、遅刻したことを直に責めるのではなく、あえて「現在時刻を聞く」
(b) 指導する際、状況をよく理解している人間が、知識も経験も少ない人間にあえて「質問する」
(c) 他人に何かを頼むとき、してほしいことを直に依頼せず、あえて「時間的な余裕があること」をまず確認する
(d) 相手が誤ったことを発言したとき、それを訂正することができるにもかかわらず、あえて「相手の理解を確認する」ような問いかけを行う
(e) 質問した後、相手からの応答が直ぐに来ない状況で、応答をただ待っていればよいのに、それを聞いた理由をあえて伝える

これらは会話のシステムに基づくものであり、個々人が場当たり的に執り行っているものではありません。日常会話はもちろんのこと、オフィスでのコミュニケーションや会議場面、ディスカッション、授業活動、研修、営業、面談、カウンセリング等、より制度的なやり取りも例外ではありません。
本科目では、ことば・身体の用いられ方を中心に、人々が行う「道理にかなった手続き」を明らかにしていきます。同じことを伝えようとしても、そのやり方はひとつではありません。我々はいかなる活動をどのような方法でやり遂げるのか、そして、なぜその特定の方法が用いられているのか。会話場面の分析演習を通じて、やり取りは決して無作為に成り立っているわけではなく、いわば精密な歯車のように構成される社会活動であることを見いだしていきます。近年、人間が行うやり取りは“○○コミュニケーション”として安易に考えられがちであり、多くの媒体で“コミュ力”などの用語が取り沙汰されています。相互行為のメカニズムを紐解いていくことは、すでに様々な社会活動を経験している履修者にとって“コミュニケーション”の本質を見つめなおす機会となります。

受講対象
制限なし(文系、理系どなたでも受講可能)

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シラバス

1.イントロダクション
我々の日常を科学的に考察する試みは可能であろうか。それらはいかなる方法で実証できるのか。関連する文献や背景、理論を紹介しながら、相互行為を客観的に検証するために必要な考え方を紹介する。(オンデマンド)

2.順番交替システム
我々の会話では、今の話者から次の話者へと発話順番が適切に移り変わっていく。会話参加者はどのように発話権や発話順序を交換していくのか。会話内で発生する「沈黙」とはいったいどのようなもので、いかなる働きがあるのか。順番交替に関する社会秩序を明らかにしていく。

3.行為連鎖の組織
人間は「いま本当は何を考えているのか」を、まるでスクリーンに投影するように映し出すことはできない。我々は会話を構築することによって、互いの認識を合わせ、合意を得ていく。会話で行われる「働きかけ」と「応答」の間にある密接な関係性に焦点を当て、会話の基本構造に注目する。

4.行為の優先性
我々が会話内で行う「働きかけ」には、相手に何かをしてもらいたいという期待が込められている。相手がそれを受け入れることも、あるいは断ることも当然あるわけだが、そこには働きかけの結果(受諾・拒否)のみならず、応答の「やり方」に非対称性が存在する。連鎖における「働きかけ」と「応答」の関係性についてより深く考察し、それぞれの場面で話者が行う振る舞いの特徴を見いだす。

5.修復(および訂正)のメカニズム
会話をしていく中では、言い間違えたり、発話を聞き取れなかったり、聞き取れたが理解できなかったり、あるいは誤って理解する/される等、様々な問題が発生する。これら諸問題を解決するプロセスを紐解き、話者同士の認識が一致していくメカニズムを検証する。

6.会話の開始・終了にみられる実践
日常会話を始める際、あるいは終わる際、「会話をはじめてよろしいですか」や「会話を終了します」のように、明確に許可を得るかたちをとることは極めて稀であろう。我々はどのようなやり方で会話を開始・終了することの合意を得ていくのか。会話の全域的構造を明らかにしていく。

7.分析演習
これまでの内容理解に基づき、履修者自身が用意する(不都合がある場合は担当教員が準備する)録画・録音データを分析する。その中で行われる会話の構造、発話の形式、身体行動等に注目し、会話参加者の行為デザインや会話の遂行方法と、それらの目的を質的に検証し、会話参加者の実践を記述する。

修了条件

出席状況、レポートの成績、プレゼンテーションやディスカッションの内容等を総合的に判断する

開講日時/場所

第一回:2024年6月29日(土)9:20~11:00(世田谷キャンパス)
第二回:2024年6月30日(日)9:20~11:00(世田谷キャンパス)
第三回:2024年6月30日(日)11:10~12:50(世田谷キャンパス)
第四回:2024年7月 6日(土)9:20~11:00(世田谷キャンパス)
第五回:2024年7月 6日(土)11:10~12:50(世田谷キャンパス)
第六回:2024年7月 7日(日)9:20~11:00(世田谷キャンパス)
第七回:2024年7月 7日(日)11:10~12:50(世田谷キャンパス)

※第一回の対面授業の前に、オンデマンド動画をご視聴ください

事前に準備が必要なもの

【必須】教科書:「会話分析の基礎」高木智世、細田由利、森田笑(著)、2016年、ひつじ書房 ISBN-13: ‎978-4894768260
⇒予習・復習に使用します。

【必須】PC・タブレット(Word搭載)
⇒授業でスクリプトを転写する練習を行います。

【必須】ペン各種(1本でも可、色は不問)
⇒分析対象となる現象等を観察し、ハンドアウトに記述します。

畑 和樹 准教授

東京都市大学
デザイン・データ科学部デザイン・データ科学科

研究者データベース

修了者にはオープンバッジが付与されます。

オープンバッジとは?

オープンバッジとは、世界的な技術標準規格にそって発行しているデジタル証明/認証です。オープンバッジを公開したり、SNSなどで共有したり、オープンバッジの内容証明を行うことができます。 さらにブロックチェーン型(*2)のオープンバッジは、偽造・改ざんが困難であるため、信頼のおける学習・資格証明書として研修教育分野に新たな価値をもたらしています。

*1 オープンバッジの技術標準規格はIMS Global Learning Consortium(以下、IMS Global)が定めています。
*2 ネットラーニングが提供するブロックチェーン型オープンバッジは、教育分野のデジタル証明書としてオープンスタンダードであるBlockcertsを利用しています。

※デザインは変更する場合があります。